既望のきみ

長いこと夜にいるワケあり20代前半の徒然

爪を噛む、指を食む

悲しいときに悲しいと言えないことが、哀しい。

自分だけじゃないことなんて知っているのだ。
知っていたところで、この憤りをぶつける先もなく。
自責したところでどうにもならず、勿論他人のせいであるわけがない。

せめてこれが選択なら。
後悔ができた。反省ができた。
消えない過ちでも、赦されるかも知れなかった。

自分の選択なんかじゃない。
あたえられたのは、枷だ。自分の意思ではなく、内包し、捨てることもできず。
皆が咎める。

わたしが望んだわけがないのに!

甘えだというなら替わってくれ、お前の体にまとわりついたそれとはわけが違うんだ。
それはお前の選択によって……

せめてひとつくらい、叶えさせてくれ。

いや、叶える。
望まぬものを与える奴を頼りにしたところで、どうせ同じだ。

欲しいのだ。
ほかのなにを犠牲にしたって。
すべて贄として捧げることを。

覚悟しろ。
戻れなくなることを。
ひとつ以外を切り捨てるのなら。

泣いて、吐いて、這いつくばって
どんな手段を使ってでも。
踏みにじれ。裏切りを躊躇うな。

只、ひとつだけのそれが欲しい。
幾千の星で満足できないのならば。

月を捕らえよ。
ひとつきり、碧く輝くひかりを抱け。